高気圧酸素治療(HBO)とは
高気圧酸素治療とは、治療タンク内を大気圧より高い気圧に加圧し高濃度の酸素を吸入することで血液中に溶けこむ酸素の量を増やし、病態の改善を図る治療です。当院では2.0気圧下(水深10ⅿ相当)で100%の酸素を吸入して治療を行います。
治療効果
体内酸素量増加により、生体内の循環障害・低酸素状態を改善
血管の狭窄や閉塞によって酸素不足になっている血管に対し、低酸素に陥った細胞に酸素が供給されることで潰瘍や傷の治癒を早める効果があります。その他、以下の効果が期待されます。
- 腫瘍内の低酸素状態が改善することによる放射線治療、化学療法の増感作用(疾患例:悪性腫瘍)
がん集学的治療外来を詳しくみる - 白血球(好中球)への酸素量増加による(酸素依存性)殺菌作用(疾患例:ガス壊疽、壊死性筋膜炎、骨髄炎など)
- 生体内にできた気体を圧縮する作用(疾患例:空気塞栓、腸閉塞など)
- ケガからの早期回復(自費診療)
捻挫・打撲等のスポーツ外傷では、外傷(ケガ)を生じた部分が腫れて痛みを生じます。腫れは末梢循環を阻害するため、外傷(ケガ)を生じた部位は低酸素環境となりますが、高気圧酸素治療は低酸素環境を改善し、腫れや痛みを軽減します。
【対象となる疾患】
- 靭帯損傷(捻挫など保存療法の対象となる程度)
- 筋挫傷(肉離れ・腫れの強い打撲)
- コンパートメント症候群に準じた筋の張りなど
加圧カプセルとの違い
近年、疲労回復やケガからの早期回復目的で加圧カプセルを利用する人がいますが、当院での高気圧酸素治療は加圧カプセルとは異なります。加圧カプセルでは21%の酸素で1.3気圧程度までしか加圧できませんが高気圧酸素治療の場合、100%の酸素で2.0気圧まで加圧することが可能です。そうすることで身体の中に溶け込む酸素の量(PaO2)が増加し様々な病気の回復が期待できます。下記は高気圧酸素と加圧カプセルにおける血中内の酸素の比較です。
治療条件
酸素濃度:下記の数値を参照
加圧時間:15分
治療時間:60分
減圧時間:10分 の場合での理論値
高気圧酸素治療 | 酸素カプセル | |
---|---|---|
酸素濃度 | 100% | 21% |
治療圧力 | 2.0気圧 | 1.3気圧 |
加圧方法 | 酸素加圧 | 空気加圧 |
治療の流れ1回の治療は90分前後となります
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- 準備
- 開始前にバイタルや、その日の体調を確認します。専用の治療着に着替えていただきます。治療中はお手洗いに行けませんので必ず開始前に済ませてください。
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- 治療開始前
- 電子機器や火気の原因になる物がないか持ち物チェックを行います。
治療中は心電図を装着させていただきます。
全てのチェックが終わりましたら装置タンクに入っていただきます。
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- 加圧
- 約15~25分かけて気圧と酸素濃度を上げていきます。その際、耳に違和感や痛みが出てきましたら「耳抜き」を行っていただきます。
耳抜きが上手くできない場合はスタッフにお知らせください。
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- 治療中
- 目標の圧力まで加圧をしたら、その状態を60分間維持します。治療中はテレビを見たりしてお過ごしいただけます。※装置内に電話がありますので、そちらを利用し会話することが可能です。
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- 減圧
- 約10分かけて元の気圧まで戻します。
その際も耳の違和感や痛みが出ましたら「耳抜き」を行っていただきます。
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- 治療終了後
- 減圧後は耳の違和感や痛みがないか、バイタルの異常がないか確認し終了です。
治療前に確認していただく事
≪耳抜き≫
治療中は装置内の気圧が変化し鼓膜の内外で気圧差ができるため、耳痛と言う耳の痛みを生じることがあります。トンネルの中に入った時や飛行機に搭乗した時に耳がボーっとする症状が耳痛であり、この耳痛を解消するためにはご自身で耳抜きを行っていただく必要があります。また、風邪や花粉症により鼻詰まりを起こしている方は耳抜きができないことがあり、その際は治療が行えない可能性があります。
※耳抜き練習は当日担当するスタッフが事前に説明します
≪閉所恐怖症≫
当院の高気圧装置は全面アクリル板で装置内から部屋全体を見渡すことが出来ますので安心して治療を行っていただけます。ただし、稀に装置に入った際に不快感やめまいといった症状がでることがあります。
スポーツ外傷における
高気圧酸素治療について
スポーツによる怪我には肉離れや骨折など様々なものがありますが、痛みが伴う場合は血流量が減少していると考えられます。そこで大気圧より高い気圧に加圧し、高濃度(100%)の酸素を吸入する高気圧酸素治療を行うと血液中に溶け込む酸素の量を増やすことができるため、組織修復を促進する効果や腫れや痛みの改善が可能となります。早期復帰をめざすための治療方法として多くのスポーツ選手が利用しています。(詳細は右記下記PDFをご覧ください)
新型コロナ感染症後遺症外来(自費診療)
新型コロナウイルス感染症の後遺症に、特異的な治療法はありませんが、当院でがん治療や閉塞性動脈硬化症の治療で使用している、高気圧酸素療法(HBO)が有効であることがわかってきました。
パンフレット
【ご予約】
052-353-9100月曜日から金曜日 9:00~17:00
(祝日・年末年始を除く)
【お問合せ先】
052-362-5151月曜日から金曜日 9:00~17:00
(祝日・年末年始を除く)
※「高気圧酸素治療の件です」をお伝えください。
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