近年、糖尿病からの透析患者様が増加しており、動脈硬化が進行している方が多くなっています。
下肢の動脈硬化により血液の流れが悪くなり、放置する事によって下肢壊死を起こし、下肢切断に至る例も多くあります。
偕行会グループの透析施設では、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)対策として早くからフットケアに取り組み、
合併症の予防、早期発見・ 早期治療に努めております。
もともと糖尿病を患っている方が透析を受けるケースがたいへん多くなっており、その場合、透析を始められる時点ですでに血液の流れが悪く、しかも足の感覚が悪くなっている方が多くいらっしゃいます。
ご自身でも気がつかないうちに傷を作ってしまうとそこから菌が入り、足の状態が悪くなってしまいます。ひどいときには全身に影響が出ることもあります。
透析をしているときは調子がいいのに、それとは関係の無いことで苦しんでしまう…ということがないようにするため、偕行会グループではフットケアに力を入れております。
当グループで透析を受けることになりましたら、まずは全ての方の足をチェックします。
各種の視診と触診を行い、また個々の習慣と生活背景を確認した問診の結果によって、ひとりひとりに合わせた治療や検査を決定します。
A深爪をしていないか
B皮膚が暗紫色や黒色に変色していないか
C白癬、タコ・ウオノメ、靴ずれなどがないか
D趾や足の皮膚が腫れてないか、水疱はないか
E外傷、引っかき傷はないか
F乾燥したりひび割れしていないか
手の指三本を、足背動脈にあて拍動の有無を調べます。左右差を知るために、両側同時に触れます。
左足の場合、患者の左側に立ち右手で拍動の有無を調べます。
場合により両側同時に触れ、左右差を調べます。
仰向けに寝ている患者の前方に立ち、両手で膝を抱えて後方から膝窩を圧迫し、拍動の有無を調べます。
足観察表とASOパス(フットケアパス)による定期的なチェック 例えば陥入爪・創傷・胼胝・鶏眼等観察していきます。 |
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透析患者様の足の状態は千差万別。中でも糖尿病のある方は血管の障害が起こりやすいので、足の観察やケアは欠かせません。
それぞれの足の状態に合わせた観察表とASOパス(フットケアパス) を用いて基本は毎月、最低でも3ヶ月に1回はチェックを行います。
患者様の足の状態によって、透析中に爪きりや清潔に保つためのケアを実施しています。
状態の変化を継続的に観察することで足病変の早期発見につなげ、重症化予防に役立てています。
偕行会グループでは、日々の看護師による足の観察だけでなく、以下のメンバーでフットケアチームを形成してひとりでも多くの患者様の足を守るために取り組んでおります。
半田共立クリニック
看護師課長 フットケア指導士
川越 由美枝
1998年 名古屋共立病院にてASO外来開設
1999年 ASOに対するLDL吸着療法開始
2000年 ASO患者の炭酸泉治療取り組み開始
維持透析患者の合併症対策の一部として
この2つを目的としたフットケアを実践してきました。現在に至るまで、偕行会グループのフットケアチームは上記のメンバーで集まって連絡事項や情報交換、症例検討をしています。患者ご家族やケアマネージャーとも連携し、自宅でのケアも統一できるようにしています。私たち看護師はASO治療の基礎を担う重要な職種です。
少しでも多くの患者様の足を守れるよう、チーム一丸となって今後も取り組んでいきたいと考えています。