Q1.どのような経緯で透析導入を決断されましたか?

透析導入に至った最初の始まりは、高校時代となります。部活中に血尿が出てしまい、病院を受診した結果、尿管の炎症が分かりました。薬物療法で炎症は収まりましたが、その後社会人になっても入退院を複数回繰り返し、血圧が200を超える時もありました。薬物療法で症状を抑えながら、仕事をしておりましたが、30代の時に職場で倒れました。そして病院へ運ばれた際に初めて腎機能の低下を指摘され、その後も入退院を繰り返す中で、慢性腎炎となりネフローゼ症候群(尿にたんぱくが沢山出てしまう疾患)の診断がつきました。36歳の時、腎不全となり食事も取れない状態となってしまったため、血液透析導入となりました。
今でも初めて透析を行った時を覚えています。朦朧としていた意識が、1回の透析治療で一気に楽になり透析のチカラに驚きました。透析を始める前は、不眠や食欲不振でしたが日に日に元気になり、透析導入してから1カ月半後に退院となり、通院透析が始まりました。

Q2.透析歴30年を経て 今だから思う透析施設の選び方などを教えてください。

初めての通院透析施設は職場に近いという理由で選びました。当時は透析に対する知識もなく、どこに透析施設があるのかも分からなかったため、導入病院の先生に教えて貰った透析施設に決めました。その後、仕事をしながら夜間透析を行いました。夜間クールの閉鎖などがあり、現在は偕行会城西病院にて通院透析を行っています。
透析に関する知識が付いた今、透析施設を選ぶ上で大事なことは、「検査項目の充実さ」だと感じています。長年透析治療を経験し、透析仲間とも情報交換をする中で、透析施設でも各種検査の充実さにバラつきがあることが分かりました。血液検査やエコー検査、シャント管理など、施設により頻度や種類に違いがあります。透析治療を始めた当初は、「症状が出たら治療すれば良い」と様々な検査に煩わしさを感じていましたが、合併症に関する知識がついた今では、いかに「早期発見・早期治療」を行うかが、長く元気でいるためには大切な事だと思います。透析施設には、週3回通い、何年もお世話になります。「早期発見・早期治療」のためにも、 各検査の内容や頻度は施設を選ぶ上で、重要な点ですね。

Q3.透析合併症の「早期発見・早期治療」のために気をつける事はありますか?

長く透析を受けていると心配になるのが、様々な「透析合併症」です。特に透析患者は心疾患で亡くなる割合が高く、自覚症状が無いケースもあるため、心疾患の予防・早期発見が大事だと感じています。偕行会グループでは、心電図や心臓エコー検査といったスクリーニング検査だけでなく、更に精密なアンモニアPET検査も可能なことは非常に安心感があります。
他の合併症対策では、炭酸泉足浴や運動療法に取り組んでいます。まだ始めて日が浅いですが、透析中のこむら返りが少なくなり、透析中に身体を動かすことで、メンタル面でもポジティブになりました。これからも続けていきたいです。
また年齢を重ねるにつれて、認知症の心配がありますが、定期的なスケール検査にて認知機能の低下が認められた場合には、偕行会城西病院にて精密検査(脳SPECT検査)を受けられることはありがたいと思います。認知症を認めるのは辛いですが、早くに分かれば症状を遅らせることもできると聞いたので、そのような検査が充実していることは嬉しいです。

取材日:2023年5月25日

名古屋市腎友会会長としての活動

名古屋市腎友会の会長として、会員の透析患者様が「元気に長く生きる」ために勉強会や講演会を開催しています。「治療に対して受け身ではなく、自分で知識をつけ、良い先生・良い施設と出会うことが大切」だと会員に伝えられるように日々の活動をしています。

名古屋市腎友会の活動

名古屋市腎友会 勉強会にて講演
偕行会城西病院 石川英明医師

腎友会とは、透析患者様が安心して治療を受けられる医療制度や福祉制度をつくり、守ることを目的とした患者様同士による組織となります。名古屋市腎友会は愛知県腎臓病協議会(愛腎協)の傘下として、名古屋市・北名古屋市における活動を促進しており、約6,400名(令和2年9月4日)の方が会員となっております。
偕行会グループでは、透析患者様を始め、そのご家族やCKD患者様など、透析に関わる方々への合併症の対策や知識普及のための啓発活動に注力し、名古屋市腎友会が取り組む知識向上イベント(講演会や勉強会など)に協力しております。